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W邸  住宅工事の舞台裏

(写真1:手刻みの仕口)
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 こんにちわ。建築戦場カメラマンの中尾忍です。
 今日はW邸の骨組み加工現場を訪れています。前回の訪問から約1週間が経過し、W邸の骨組みが大工職人さんたちによってほぼ完成しています。今日は少しばかり職人技を紹介できたらと思っています。
 現在の住宅工事では効率が優先のため県内の木造建築工事の9割以上がプレカット(工場加工)で骨組みを加工しています。しかし、厳密に言うと、昔ながらの細かな加工は機械任せではできない部分が多くあります。例えば、仕口ですが、機械加工では仕口は床に木を置いてみるとわかりますが、直角でしか加工できません。また、継口がドリルの回転のため、丸くなってしまいます。(写真2) 
 W邸の仕口を側面から見てみますと、直角ではなく、やや斜めに加工されているのがわかると思います。これは仕口の凸凹を組み合わせた際に、仕口同士がギュッと締まりながら、結合するように、昔から伝わっている加工方式です。(写真1)木は湿度が高くなると僅かですが、膨張します。木がわずかに膨らむと更に、仕口部分は締りがつよくなり、強固に結合されます。一つ一つの組方がしっかり成り立って、全体が構造体としてしっかりしてきます。
 熟練の大工さんたちによる手刻み加工と現代的な住宅デザインとの融合がこれからの住宅にもっと広まっていけば、若い職人さんたちも技術を磨く機会が作れるのではと考えています。(職人さんも手刻みの機会が少ないことから若手不足との話がありました。)私の立場では、いろんな意味で、設計の段階から構造や骨組みを意識したデザインが大切なのではないかと考えています。それらの設計図を職人さんや構造事務所と相談しながら、組方のディテールを考えていく。最終的にはシンプルなデザインで収まっていく。その繰り返しやフィードバック・応用が新たな空間展開の可能性を広げて行ってくれるのではないかと考えています。そのようなイメージで僕は職人さんや専門家・クライアント(依頼主)の関係性の中で空間を考え、地味に動いています。(笑)明日にも興味深い空間が誕生するかもしれない。そんな未知なる建築を開拓していけたらといつも考えています。職人さんともパートナーシップが大切です。お互いにいい仕事ができたら依頼主にもいい影響がでるのは間違いないでしょう。ゆっくりでマイペースだけど、一つ一つのプロジェクトの可能性を突き詰めて行こうと思っています。
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(写真2:プレカットの仕口)

 

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by atelierbau | 2011-06-15 17:09 | 住宅 | Comments(0)

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