人気ブログランキング |

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年

 先日の説明の通り、昨年の10月に弘前市にて、所属している建築の団体(JIA)の会議に出席することになり、この機会に弘前に現存する前川國男氏の設計した近代建築を巡ることができました。せっかくですので、巡った建物を少し紹介できたらと思っています。

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23171246.jpg

(竣工時の写真)

>木村産業研究所 1932年(昭和7年)竣工 

 23才の時、2年間、パリにアトリエがあったル・コルビジェに師事し、その留学の帰途の船で、前川の母と同郷の木村隆三(フランス大使館付武官として渡仏していた)に偶然出会い、船上で設計を依頼される。

帰国後、前川氏が手掛けた研究所の建物は2階建て、建築面積287㎡、鉄筋コンクリート構造。彼の処女作であり、ピロティ―、スチールサッシによる連続水平窓、自由な平面構成(壁と柱は分離している)等のモダニズム建築の特徴をよく伝えていて、コルビジェから学んだスタイルを積極的に取り入れた作品でした。(この時はレーモンド事務所にいる時期と重なっている)この時、前川氏は27才。

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23173927.jpg

(写真:1F エントランスホール)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23201674.jpg

(クレセントは外国製でした)

Fのエントランスホールや貴賓室のアールの連続窓、2Fのサッシは、当初のオリジナルはT型の細いスチールサッシでラ・ロッシュ ジャン・ヌレ邸(1923)を思い出させるディテールでした。残念ながらファサードのサッシはオリジナルの横長滑り出し窓→引違い窓になっていましたが(写真)、部分的に横長窓も裏側や2Fの一部に残っていました。(錆付いて開閉が困難でした。)

 歴史的には日本の近代(モダニズム)建築の歴史がここから始まったと考えると非常に貴重な建物であることは間違いありません。2
Fのベランダ部分の突き出した片持ちの庇は実は一度、積雪が積もるということで撤去されていましたが、「前川建築を大切にする会」を中心に市民の方の寄付でオリジナルのかたちに直したそうです!(すばらしい)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23215258.jpg

(2階のベランダ:吹抜けになっていて、1Fの玄関付近の訪問者を2Fからも確認することがしやすい設計になっている。)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23242200.jpg
(2Fのホール:吹抜けのベランダは水平窓の前にある。)

2階のホール、吹抜けのあるベランダ廻りは比較的当初の姿を見ることができました。ホールは自然光だけでも室内を明るくしていた。

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23255181.jpg

(1Fエントランスホールより2Fのベランダを見上げる。ベランダの吹抜け越しに1Fのホールへ自然光が入る設計になっていた。)

日本の近代建築史の中で前川國男という建築家はとても大きな影響を後世の建築家に与えたと言っても過言ではありません。彼の事務所からは丹下健三を始め、大高正人、構造家の木村俊彦、等有名な建築家がそこで学び、そして育ちました。
 木村産業研究所は現在、「弘前こぎん研究所」として利用されています。2
F
のフロアでは「前川國男プチ博物館」が「前川建築を大切にする会」の皆さんにより運営されていましたが、私が訪れた10月末を持って、残念ながら閉館されました。閉館前に訪れることができ、いろんな作品の写真や模型などが見れ、貴重な体験でした。2003DOCOMOMOjapanに選定、2004年に登録有形文化財に指定。

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23362829.jpg

「前川國男プチ博物館」(残念ながら2019年10月で閉館)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23374258.jpg


(モダンな天井の色とスチールのサッシ:ベランダに出るための扉)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23401492.jpg
(現在の外観:2Fの片持ちのベランダの庇は市民の寄付で修復された。)

前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23121393.jpg
【オリジナルな姿の模型】
前川國男 近代建築を巡る その1  木村産業研究所 1932年_e0028417_23125527.jpg
【ピロティ部分・アールの開口部、屋上庭園に上がる屋外階段】

模型製作:秋田県立大学システム科学技術学部建築環境システム学科計画学講座 込山ゼミ 



次は、弘前市民会館をご紹介したいと思います・・・つづく。













.











by atelierbau | 2020-01-20 23:20 | | Comments(0)

設計事務所と作るオリジナルの家づくり


by atelierbau