読書
2020年 08月 31日
この本は実は学生時代に社会との断絶や人の尊厳、コミュニティーをテーマにいろんな文献を呼んでいる中、「異邦人」(その時は英訳:Outsider)を研究室で呼んでいると、大学の恩師の先生からそれはフランス文学なのでフランス語で読むことを薦められていました。作者のことをよく読まずに呼んでいたこともあり、その時は、小説家のオリジナルの文章(母国語)で読むという、基本的なことを間違って、僕は読んでいたのでした。(学生の間は時間があるので、辞書を引きながら読むと、それができることもあり、先生がそのように薦めて下さったと思っています。)そのこともあり長い間、読むことをためらっていましたが、書店でたまたま目につき、日本語で思わず読んでしまいました。(森岡先生すみません。)
小説の舞台はもっと深刻な状況の非日常世界(ペストが街を覆い尽くした中)が舞台でしたが、そこでの人間の振舞い(政治家や行政責任者の無責任さ含)、人々の扱われ方、色々なものが凝縮されていて、とても興味深いものでした。以前呼んだ「異邦人」も良かったですが、今の社会の閉塞感のある状況(いつ収束するかわからない状況)、移動制限等が小説「ペスト」の世界をとてもリアルに感じさせているようでした。ストーリーはフランス文学者のカミュによって描かれていますが、戦時中の体験などを基に描かれているそうです。遺体の焼き場などへの光景,煙の臭い等もそれを彷彿させる描写等、人間や社会の恐ろしさを小説の中の空気感からいろいろ感じさせてくれます。町に偶然留まることになった、新聞記者や、医師リウーの視点から、彼らの人間関係、尊い患者や親類の死等、血清の届かない状況、いろんな悲劇(tragedy)の背景が詳細に描かれています。いくつかの小説の文脈がいまのコロナ下の状況にも当てはまることもあり、数十年後の今の世の中にも普遍性を感じることができ彼の作家としての凄みを感じました。最近読んだ本の紹介でした・・・つづく。
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